制御回路と計装ループ

自動制御と計装

計装とは、自動制御を行う目的で、計測装置や計測制御装置を装備することをいいます。つまり、監視や制御の為に検出器や調節器などを取り付け、測定や計測をする技術のことです。このページでは制御と計装ループの構成について、基本的な回路でやさしく解説しています。

自動制御の種類

自動制御は制御方式により、閉ループ制御と開ループ制御の2 つに大きく分類することができます。閉ループ制御はフィードバック制御とも言われています。

閉ループ制御

フィードバック(出力結果を入力にもどすこと)によって測定値(例えば熱帯魚の飼育水温)を目標値(例えば水槽の設定温度)と比較し、測定値と目標値を一致させえるよう な訂正動作を行う制御です。制御系は閉ループを構成することになります。

閉ループ制御の例としては

  • エアコン
  • 電気コタツ

などがあります。

開ループ制御

開ループ制御の代表的なものに、シーケンス制御があります。シーケンス制御とは「あらかじめ定められた順序に従って制御の各段階を逐次進めていく制御」をいいます。

シーケンス制御の例としては

  • 全自動洗濯機
  • 自動販売機

などがあります。

制御と計装ループの構成

熱電対をセンサーとして温度調節器からの命令で、調節器となるSSR(ソリッドステートリレー)を動かし、水槽をヒーターで加熱をし、温度を監視する為の温度計及び異常時に警報を鳴らす為の警報設定器を取り付けた制御回路の一例です。

制御と計装ループの構成
  • 測温抵抗体(温度検出端)
    温度を検出するセンサーです。熱電対や測温抵抗体、放射温度計などの種類があります。
     
  • 温度調節器(調節計)
    温度センサーの信号を受信し、実際の温度を指示するとともに、あらかじめ設定された目標温度との差異を比較して、適当な制御出力を操作端へ与えます。
     
  • SSR(操作端)
    調節計の制御出力を受けて、実際ヒータへ与える電力を調整します。操作端としてはサイリスタの他、リレー、SSR などがあります。
     
  • 変換器
    温度変換器は,熱電対・測温抵抗体及び放射式温度計などの検出部からの出力信号を,受信計に対応した種類の信号に変換するものです。
  • 警報設定器
    あらかじめ設定した上限および下限設定値に達すると、接点信号を出力するアラームセッターです。水位、圧力、温度などの各種センサーと組み合わせることで、状態監視や異常検出など様々な用途で使います。
  • (温度)指示計器
    センサからの信号を、人間が見やすいようにしたメーターで表します。温度制御の場合は、温度計に当たります。

制御信号は一連の機器の中で循環しています。これらを計装制御ループといいます。ループ内の信号DC4-20mAは直流ですので+-の向きがあります。

変換器からの出力される制御信号は、計装用標準信号(統一信号)である、直流信号DC4-20mAを出力しています。標準信号にはDC1-5Vも使われます。ノイズを受けやすく、伝送距離の長いフィールドでは信号伝送には、電流信号の方が優れているので多く使われています。

DC0~20mAでなく、DC4~20mAが使われている理由は、故障や信号線の断線による無信号状態と、信号値ゼロの状態を区別する目的があります。又、4mA以下の信号を使って増幅回路を働かせることにより、2線式発信器が作ることができます。

測温抵抗体温度変換器の仕様が-20~80℃の場合はセンサが検知した温度-20℃で4mAが変換器から出力され、80℃の場合は20mAが変換器から出力されます。その信号を指示計や温度設定器、調節器が受け取ると比率計算され各機器は認識をします。

一般的に伝送信号はアナログ信号とディジタル信号に分類され,ディジタル信号は電気信号と光信号に分類されます。

① アナログ信号(統一信号といわれるもの)
・電気信号 4~20mA DC及び10~ 50mA DCの2種
・空気信号 0.02~0.1MPa(0.2~ 1 kgf/cm2)
② ディジタル信号
・電気信号
・光信号

統一信号は,プロセス計装の高度化に伴い世界的に標準化されたものです。 温度変換器のアナログ出力は4~20mADC,プロセス制御用の圧力変換器の出力信号は4~20mA DC, 1~ 5V DCのものが多く使われています。
電子式変換器は,情報量の増加,監視・制御機能の向上,自己診断,コストの低減に対応するため,ディジタル信号による伝送方式が増加しています。光信号は,光パルスによリディジタル信号で伝送するもので,伝送路には光ファ
イバケーブルが使用されています。

簡単な計装ループの構成について、理解していただけたと思います。検出部(センサ入力変換器)からの出力はDC4-20mAです。その信号を、統一信号として指示計や温度設定器などに伝えることにより、自動制御が成り立っています。計装と自動制御は切り離して考えることができないものです。

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