PLCとは?(プログラマブルロジックコントローラ)

PLCシーケンス

 PLCとは、プログラマブルロジックコントローラーの略で、シーケンス制御専用ともいえる、マイクロコンピュータのことを言います。リレーシーケンス制御装置に代わるものとして発展してきたコントローラーです。PLCは、一般的にシーケンサーとも呼ばれていますが、シーケンサーとは三菱電機の登録商標となります。

PLC(プログラマブルロジックコントローラ)の特徴

 シーケンス制御では、リレーやタイマー、スイッチなどが重要な役割を果たしています。これらの制御機器は機械的な接点を持っているので、つぎのような問題点があります。

  • 接点が摩耗する
  • 接触不良が起こる
  • 配線作業が面倒
  • 制御手順の変更に配線作業が必要

 このような問題点を解決するために、PLCは開発されました。尚、PLCの特徴として、次のようなメリットとデメリットがあります。

  1. メリット
    • 接点の寿命がない
    • 制御機器間の配線が不要
    • 複雑な制御が省スペースで出来る
    • ソフトウェアなので量産化が容易
  2. デメリット
    • PLCが壊れると一式交換が必要
    • メーカー変更が容易でない

PLCとは?

 PLCとは、工業環境用に開発された電子制御装置です。プログラマブルロジックコントローラという名のとおり、コンピュータ制御技術をベースにして、シーケンス制御をソフトウエア(プログラム)で処理しています。高度な機能を持ったシーケンス制御専用のコンピューターともいえます。

 リレーシーケンスは、ワイヤードロジックといった考え方で構成されています。ワイヤードロジックとは、リレーやタイマー、スイッチなどを使用して、機器間を配線によってロジック(論理)が組み立てられたものです。PLCシーケンスは、ワイヤードロジックをソフトウエアロジック化したものです。機器間の配線をプログラムに置きかえ、主記憶装置に置かれている内蔵プログラムで制御を実行しています。

  PLCは普通のコンピュータと基本的な構造は同じです。装置の制御やデータの処理を行うMPU(論理演算・制御部)で、メモリ(記憶部)に記憶されたプログラムを実行し、入力部からデータを受け取り、演算・加工した上で、出力部へ信号を送り、機器の制御を行います。制御を行う基本ソフトウエアはメモリに書きこまれています。そのプログラムは、一般的にラダー図というものが用いられています。ラダー図はプログラムに対する特別な知識が無くても、リレーシーケンスを知っていれば、容易にプログラムを作成できます。尚、入出力の信号はアナログ、デジタル共に対応できます。

PLCのブロック図
PLC(プログラマブルロジックコントローラ)のブロック図

 標準的なPLCの外観は、外部機器から情報を取込む為の入力端子、制御された情報を外部機器に送ったりする為の出力端子、プログラミングツール接続用のコネクタ、他機器との通信コネクタ、外部電源入力端子などから構成されています。

PLCの外観
PLCの外観

PLCの基本構成とその動作

MPU(Main Processing Unit)

 MPU(Main Processing Unit)とは、主処理装置のことで、PLCの制御や演算や情報転送などの基本動作を行う中枢部分です。 MPUは、アプリケーションプログラムに従って、外部と接続された入力スイッチなどの信号を入力部を経由して読み込み、演算し、結果を出力部を経由して負荷などへ外部出力します。つまり、コントローラの中枢部を担っています。

 演算は、数値計算だけではなく、ANDやORなどの論理演算や条件判断など、幅広い処理がPLCでは可能です。尚、処理された結果は、必要に応じてメモリに送られます。

メモリ

 PLCのメモリは、シーケンスプログラム本体、入出力の信号や数値、演算状態、制御の途中経過などの様々な状態・データを一時的に格納するための記憶装置です。記憶装置は、CPU内部とプログラム部および外部記憶装置に分けることができます。尚、メモリの容量はPLCの機種によって異なります。また、ロジックの処理は各メーカーごとに独自のシーケンス言語でプログラムされています。

 PLCのメモリには、読み取り専用メモリ(ROM)と読み書き用メモリ(RAM)の区分があります。補助記憶装置としては、補助メモリの他にも外部記憶媒体としてメモリが取り外し可能な機器もあります。PLCでは、プログラムの保存、運転状態の記憶、制御装置再起動時の初期データ記憶など様々の用途があります。

入力装置(Input)

 入力装置はスイッチやセンサ等の外部機器からの信号をPLC内に取込む装置です。それらの信号は入力端子から取込みます。入力端子には、それぞれ固有の入力リレー番号が割り当てられており、この番号がプログラム中で使用するリレー番号となります。入力装置は、接続された外部信号を、PLCで扱う内部信号に変換する機能を持ちます。

 PLCの入力装置は、入力の信号をA/D変換(アナログーデジタル変換)を行います。ON/OFF入力の場合は、接点入力(ON-OFF信号)を入力し、A/D変換部へ渡します。アナログ入力の場合は、一般入力(1~5V、4~20mA等)の他に温度センサ(熱電対)の直接入力などの処理を行い、A/D変換部へ渡します。A/D変換部は、入力部から受けた信号(アナログ値)をデジタルに変換し、メモリの入力部へ書き込みます。

出力装置(Output)

 出力装置はPLC内部で処理された信号を、外部のリレーやランプなどを駆動できる信号に変換します。MPU部で演算された出力命令に従って個別に動作させることにより、接続された機器を制御します。装置にある出力端子には、それぞれ固有の出力リレー番号が割り当てられています。

 また、PLCの機種によっては、出力装置に高電圧、大電流を要求するモータやソレノイドなどを駆動できるように増幅する機能や、PLCの内部信号を外部機器と接続できるようにレベルを変換する機能をもつものがあります。PLCでは、○○点入力・○○点出力といった表示があり、最大その点数分の入力機器信号を個別に読み込み、最大その点数分の出力機器を制御することができます。また、拡張機能で入出力の点数を増やせるPLCもあります。

電源部

 PLCが働くために、必要な電力を供給するための装置です。外部商用電源を変換して、MPU部などを動作させるためにPLCの内部電源を供給します。内部のICは、DC5Vで動作しています。電源部では、交流を直流に変換し、内部ICに電源を供給しています。

周辺装置

 周辺装置としては、シ ステムの動作状態をモニタリングできるプログラマブル表示器や、PLCを汎用のパソコンでサポートするためのアプリケーションソフトなどがあります。また、通信インタフェースや各種アプリケーション専用モジュールのインタフェースなどがあります。いずれも、PLCを効率よく利用できるようする機器です。

PLCのプログラミングツール

 PLCのプログラミングは、プログラム専用の機器であるプログラムコンソールを使うか、パソコン上で、専用ソフトウエアで作成し、通信ケーブルを使ってPLCに転送する方法があります。最近では、パソコンでプログラミングを行うのが主流となっています。

 PLCのシーケンス回路はラダー図を使って表します。パソコンで専用ソフトを使ってラダー図を作成すると、ソフトがPLCが読める、ニーモニク言語に変換し、通信ケーブルを介して、PLCのプログラムメモリに書きこみます。ラダー図を作成するソフトは、複数メーカーのPLCで使える、安価なものも発売されています。

PLCのプログラミングツール
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